コクヨ様は、オフィス空間を設計した後の使われ方を継続的に捉え、レイアウトや環境づくりの改善に活かすため、SCIENとAI映像解析の技術検証を進めています。SCIENは、現場で活用できる状態を目指し、以下の検証・開発を支援しています。
- 映像から人や空間の状態を捉える技術の調査・検証。VLM、シーングラフ、ゾーン推定などを用い、オフィスで起きている行動や状態を読み取る方法を検討。
- 複数カメラの映像を扱うための技術検証。人物追跡、Person Re-ID、鳥瞰図変換などを含め、カメラごとの差や空間全体の把握に対応。
- 映像を改善判断に使えるデータへ変換。単に映像を解析するのではなく、レイアウトや運用の見直しにつながる情報として扱える形を目指す。
- 精度と処理効率を両立する実装の検討。研究成果にとどめず、継続的に活用できる仕組みとなるよう実利用を見据えて検証。
オフィスの価値を、説明できる形へ
コクヨ様は、どのような課題を抱えていましたか?
私たちは、ワーカーが意識しなくても働きやすく、居心地がよく、成果につながる空間を目指しています。「気づいていないけれど、なんとなくいい」と感じられる状態を、継続させていきたいと考えています。
これまで、席や動線の配置による偶発的な会話、周囲との距離や視線の抜け方による集中のしやすさなど、空間設計の知見を積み重ねてきました。自社オフィスも実験の場として活用し、社員の協力を得ながら検証を重ねています。
一方で、設計後の評価・改善は、利用者へのアンケートやヒアリング、目視観察に依存しやすい面がありました。アンケートには主観やバイアスが入りやすく、目視観察も評価者の判断に左右されます。「なぜこの空間がよいのか」「どのように改善すべきなのか」を、より明確な根拠を持って説明するために、空間の使われ方を定量的に捉える方法が必要でした。
設計して終わりにせず、日々の使われ方を継続的に捉える
どのような検証を進めているのでしょうか?
オフィスは、移転やリニューアルの直後だけでなく、その後も人の働き方や運用の変化によって使われ方が変わります。困りごとが顕在化してから対応するだけでは、良い状態を保ち続けることは難しくなります。
そこで、どのエリアに人が集まっているのか、どのような行動が起きているのか、設計意図が日々の働き方にどう表れているのかを、映像データから継続的かつ定量的に捉える技術を検証しています。
目指しているのは、映像を解析することそのものではありません。オフィスの使われ方を、レイアウトや運用の改善を考えるためのデータとして扱える状態です。
幅広いAI技術を、現場で使える形へつなげる
SCIENとの連携で、重要だったことは何ですか?
初期段階では、VLMなどを活用した映像理解から検証を始め、その後もシーングラフ、ゾーン推定、人物追跡、Person Re-ID、鳥瞰図変換など、幅広い技術領域を扱いながら検証を進めてきました。
実際のオフィスでは、カメラごとに映像条件が異なります。一つのAIモデルだけですべてを解ける課題ではなく、映像を解析できるだけで改善に使えるとも限りません。SCIENには、最新技術の調査・検証から映像データの解析までを担っていただき、精度と処理効率の双方を確かめながら伴走してもらっています。
AI技術の変化が速いからこそ、研究として成立する技術だけでなく、現場で継続的に活用できる状態まで落とし込むことが重要だと考えています。SCIENと、技術の探索と実利用に向けた検証を行き来しながら、オフィス改善に使えるデータづくりを進めています。
オフィスの価値を、より納得感のある提案へ
今後、どのような展開を期待していますか?
目指しているのは、研究成果を出すことそのものではありません。お客様により良いオフィスを提案し、その価値を納得感のある形で伝えるための根拠をつくることです。
現在は、オフィスの利用状況を継続的・定量的に把握するための技術検証を進めています。今後も、改善の判断に使えるエビデンスとして、検証の精度を高めていきたいと考えています。
コクヨ様が培ってきた空間づくりの知見に、SCIENがAI技術を活用し、現場の判断材料として使える形へ落とし込む。「なぜこのオフィスがいいのか」をデータで説明できる状態に近づけるこの取り組みは、AIを研究で終わらせず、より良い提案につなげていく挑戦でもあります。
*本記事は、2026年8月時点で進行中のR&D・技術検証の内容をもとにしています。効果や今後の展開は、検証の進捗に応じて確認・検討されます。
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