プロジェクト概要
対人不安や緘黙傾向のある就労者は、支援者に本音や小さな変化を伝えること自体に高いハードルがあり、現場ではその見逃しが離職リスクにつながっていました。SCIENはチャレンジドパーソン社と共同で、AIアバターが日常対話を担い、その内容を支援者向けのレポートとして構造化する障害者就労支援DXサービス「Buddy Talk」を開発。就労者が安心して気持ちを表出できる導線と、支援者が変化を早期に把握できる情報基盤の両立を目指しました。
心理的安全性を起点にした対話設計
既存のチャットUIをそのまま当てはめるのではなく、選択肢回答、やさしい日本語、見やすい字幕、親しみやすいアバター表現などを組み合わせ、対人不安のある方でも話しやすい導線を設計しました。HCIの知見をもとに、単なる会話機能ではなく「今日はくまさんと喋る」と自然に選ばれる対話体験を目指した点が特徴です。
現場実証を前提にした共同開発体制
構想段階で終わらせず、早期に”動くもの”を形にして尾道の現場へ持ち込み、支援者・利用者双方のフィードバックを反映しながら改善を重ねました。プロダクト設計、対話シナリオ、レポート形式、日常業務への組み込み方までを一体で検討しています。
- AIアバターとの対話フロー設計
- 選択肢回答/字幕/口調調整を含むUI/UX設計
- 対話内容の構造化レポート設計
- 現場実証と改善サイクルの伴走
日常対話の蓄積による”予兆検知”
不調になってから聞き出すのではなく、元気な時期から日常的に対話を蓄積することで、回答までの時間、選択傾向、言葉の選び方の変化を比較できる構成としました。本人が自覚する前の違和感を支援者が早めに捉え、離職や離脱を未然に防ぐための判断材料を提供します。
支援者の判断を支えるレポート基盤
AIが結論を決めるのではなく、支援者がよりよく関われるよう情報を整理し、深掘りの起点をつくる役割に位置づけました。対話結果を構造化し、コンディションの変化や関係性の課題を可視化することで、現場の支援品質向上につなげています。
本プロジェクトにおける価値
本プロジェクトの価値は、対話しづらさという見えにくい課題に対して、HCIとデジタルヒューマン技術を用いて”現場で使われる支援導線”を実装した点にあります。AIを効率化の道具としてではなく、支援者と利用者のあいだをつなぐ橋渡しとして設計することで、障害者就労支援DXの新しい形を示しました。