プロジェクト概要
建設仮設機材のリース請求は、納入・追加納入・引上げといった現場の動きが同一商品に対して複数行積み上がります。翌月の継続請求書を作る作業は、単純な日付スライドではなく、月末時点の「残数」を翌月数量として再構成する作業であり、商品ごと・現場ごと・支店ごとに判断と再計算が連鎖します。SCIENは建設仮設機材リース事業者様の請求書発行業務を対象に、業務仕様の読み解きから本番運用パイプラインの構築・継続バッチ処理までを一気通貫で担っています。
FDEモデルによる現場密着型の関与
本案件は、SCIENが推進している FDE(Forward Deployed Engineering)モデルでの提供形態をとっています。汎用ツールやノーコードに業務を寄せるのではなく、SCIENのエンジニアが業務担当者と並走しながら、
- 請求書フォーマットの読み解き
- 残数ロジックの定義
- 支店ごと・現場ごとの例外パターンの抽出
- パイプラインの実装と本番投入
- 受領回ごとのバッチ処理と検証
までを継続的に担当します。仕様書を切り出してベンダーに丸投げするのではなく、業務側の判断と実装側の判断を同じテーブルで擦り合わせ続けることで、属人化していた帳票処理を再現可能な仕組みへ落とし込んでいます。
残数ベースでの翌月継続明細の再構成
中核となるロジックは、商品ごとの「残数」を起点に翌月の継続行を組み立てる処理です。同一商品について「納入 1 / 納入 1 / 引上げ 1」と動いた場合、残数は 1 であり、翌月継続数量も 1 になります。納入数量をそのまま翌月に持ち越したり、リース期間終了だけを根拠に引上げを判定したりはしません。
各商品について次の処理を行います。
- 関連行(納入・引上げ・残数)を集約し、最終残数のみを抽出する
- 区分を「継続」として 1 行に再構成する
- リース期間を 1 か月スライドし、日数・金額を計算式入りフォーマット上で再計算する
- 基本料・発送運賃など納入時のみ発生する項目は出力対象から外す
- 値引桁・値引率など現場ごとの取り決めはメモとして残す
これにより、翌月請求のたたき台が「数字の根拠が辿れる帳票」として再構成されます。
関与範囲と実装スコープ
業務範囲は単なる Excel 変換に留まらず、入力構造の保全・本番フォーマットへの転記・例外パターンの自動検知まで多岐にわたります。
- 5 支店分の請求書を入力構造に対して 1 対 1 でミラーする出力ディレクトリ設計
- 印刷範囲(print_area)の常時尊重による、範囲外明細の混入防止
- 「素材」「原本」「サンプル」等の補助シートの温存と、テンプレ系シートの灰色タブ識別
- 顧客名プレースホルダ(〇〇株式会社 など)の自動検知によるテンプレ流用シートの分類
- 入力に存在した印鑑・図形オブジェクトに関する制約の整理と運用フローの提示
- 出力検証スクリプトによる入出力 1 対 1 マッピングと継続明細 Multiset 突合
「人が触ったときに違和感が出ない帳票」であることを担保するため、罫線・書式・シート並び順まで含めて入力側の意図を温存する設計を取っています。
受領回ごとの継続運用
請求業務は単発の変換作業ではなく、受領回ごとに繰り返し走る業務です。
受領回ごとに見つかる新しい例外パターン(新規流用テンプレ顧客、変則的なシート構成、楽楽明細PDFでの受領 等)は、業務担当者との会話のなかで切り出し、テンプレ判定モジュールや前処理スクリプトに反映していく形をとっています。仕様書ベースで止まらず、運用と実装が同じサイクルで前進する点が、FDE モデルの強みです。
本プロジェクトにおける価値
属人化しがちな帳票業務に対し、「残数」という業務上の概念をパイプラインの中核ロジックに昇格させ、計算式入りの正式フォーマットを崩さずに翌月分を機械的に再構成できる状態を作った点が本プロジェクトの価値です。SCIEN のエンジニアが現場と並走し続ける FDE モデルによって、月次の継続請求業務は「人手で組み直す作業」から「人が確認する作業」へと位置づけが変わりました。今後も受領回ごとの運用を通じて、業務側の知見をパイプラインへ反映し続けてまいります。
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