プロジェクト概要
対象となるネットはサイズが大きく、一方向の撮影では全体を十分に捉えられないうえ、たるみが異常を隠したり、逆にたるみ自体を異常として誤検知したりする課題がありました。SCIENは、現場の撮影条件と検品フローを前提に、複数画像の位置合わせ、たるみ検出、異常検知を段階的に組み合わせる全体設計を行い、品質管理へ組み込み可能な構成を整理しました。
課題整理と撮影要件の設計
まず、検査精度に影響する要因を整理し、撮影高さ・画角・解像度・必要台数などの要件を定義しました。単にモデルを選定するのではなく、どのような条件で撮れば異常を安定して捉えられるかという入力条件の設計から着手した点が特徴です。
関与範囲とPoC設計
PoCでは、前処理からモデル評価までを分解し、短期間でも実現性を見極められるよう進め方を設計しました。正常画像のみを用いる学習方式と、正常・異常の双方を使う分類方式を並行検証し、将来の本番運用につながるデータ蓄積の仕組みも視野に入れています。
- 撮影環境・カメラ配置の要件整理
- 複数画像のレジストレーション方針の設計
- 異常検知モデルのサーベイと評価設計
- データ収集アプリを含む運用フローの提案
多方向画像を前提とした異常検知アプローチ
前処理では、複数方向から取得した画像を位置合わせし、ネット全体を俯瞰的に扱える状態へ変換します。そのうえで、たるみの影響を分離しながら異常箇所を推定する構成をとることで、現場に近い条件下でも安定した検査を目指しました。
データ蓄積を前提にした検査基盤
異常画像が十分にない状況も見据え、正常画像主体の1クラス分類と正常・異常双方を用いる2クラス分類を並行で検証する方針を整理しました。あわせて、現場から継続的に学習データを回収するアプリケーション構想まで含め、PoC後に精度を高め続けられる仕組みを設計しています。
本プロジェクトにおける価値
現場条件を無視した単発の画像AIではなく、品質管理プロセスに実装できる検査基盤として設計した点が本プロジェクトの価値です。撮影条件、データ蓄積、モデル選定を一体で設計することで、PoC後の改善余地まで含めた実行可能なロードマップを提示しました。