プロジェクト概要
不織布製造の現場では、製造ラインで発生した微細なゴミや不純物を加工工程側で見つけて除去する必要があり、確認作業の負荷や判定の属人化が課題となっていました。SCIENは、既存の欠点検出機で取得される画像を活用し、AIが「除去すべき欠点」と「無視可能な欠点」を判定する品質支援システムを構築。現場での確認工数削減と、判定基準の標準化を支える仕組みづくりに取り組みました。
熟練検査員の判断基準をAIへ転写
品質管理責任者の知見をもとに、4,000〜5,000件規模の学習データを整備し、AIが欠点の要対応/不要を判定できるモデルを構築しました。単に”異常かどうか”を見るのではなく、現場で実際に取るべきかどうかという業務判断を学習対象にした点が特徴です。
現場に組み込めるシステムフローの構築
既存検出機の画像をセキュアにSCIEN側サーバーへ送信し、推論結果を現場のiPadへ即座に返す仕組みを構成しました。新しい検査フローを一から作るのではなく、既存業務を止めずに副次的にAIを導入できるよう設計しています。
- 既存欠点検出機の画像を用いた判定モデル構築
- 4,000〜5,000件規模の教師データ整備
- サーバー推論からiPad返却までのシステムフロー設計
- 現場検証と運用改善の伴走
工数削減と横展開を見据えた設計
AIが要対応フラグを立てた箇所だけを確認すればよい運用とすることで、従来の全件目視確認に比べて確認工数を大幅に削減しました。1ラインあたり年間約700万〜800万円規模の経済効果が見込まれ、他ラインや同業他社への横展開も視野に入る構成です。
VLM活用による説明可能性と技術継承
将来的には、判定結果だけでなく「なぜこれを取り除く必要があるのか」を言語で説明できるVLM活用も構想しています。画像と説明文をセットで蓄積することで、検査員の納得感を高め、品質判断の技術継承を支える基盤へと発展させる計画です。
本プロジェクトにおける価値
本プロジェクトの価値は、画像AI単体の精度検証にとどまらず、既存検査機・現場端末・運用フローまでをつないだ実装により、実運用レベルの品質支援システムとして成立させた点にあります。熟練検査員とAIの判定一致率は約9割前後に達し、品質管理の省力化と標準化の両立を示しました。